月夜と少年?

月夜と少年は、2008年に大阪の小さなビルの一室で、ギャラリーとして始まりました。同時代を生きるアーティスト達と共に、展覧会、コンサートやワークショップを企画し、制作と発表の場を運営してきました。

2012年からは、より自由でしなやかな強度を持った活動をするために、特定の場所を定めずに展覧会やコンサートの企画・制作を行っています。日本全国、世界各地でアーティスト同士が、緩やかに繋がる共同体を支えたいと考えています。

「月夜と少年」の由来

ギャラリーを始めた頃によくこの名前の由来を訊ねられました。ギャラリーの名前としては、少々ロマンチック過ぎますし、そもそも日本語で名前を付けている ギャラリーというのも少なかったのかもしれません。この「月夜と少年」という名前は、明治から昭和にかけて活躍した児童文学作家の小川未明氏が書いた、同 名の短編小説の表題より拝借致しました。田舎から丁稚奉公に出て来た、顔も名前も知らない二人の少年が、自分の愛する者を思い浮かべながら、月を並んで眺 めているうちに親しくなっていく、という話なのですが、その少年が月を眺める姿と、アートや音楽に触れる姿というものは重なる所があるのではないか、と 思ったのです。この場に集う人達が、芸術というものを通してなら、それぞれが違う事を想いながらも、何かがちゃんと繋がっているんだという事を実感出来る のではないか、またそうであって欲しいという願いから、「月夜と少年」と名付ける事になりました。

月夜と少年/著:小川未明

町のある商店へ田舎から丁稚が来ました。ちやうど同じ年頃の子供が二人新たに奉公したのであります。
この二人は、産まれた故郷が互に遠く隔つてゐました。さうして、此処に来るまでは、互に顔を見たこともなければ、そんな子供が彼処に住んでゐるといふことも知らなかつたのであります。
けれど、始めて町に出て同じ家に奉公するやうになつて、顔を見合はしますと、いつになしに二人の心には親しみが生じて来たのでありました。
~中略~
二人の少年は、互にかたりました。さうして、優しい人の顔だけが月の中に映つて見えるのだと二人は信じました。この二人の少年は其から一層仲よくなりました。さうして月夜には二人は並んで月を眺めました。

メンバー

吉田航

ディレクター、キュレーター

吉田美央

デザイナー