8月11日から8月17日までの尾道滞在の記録前編。

8月11日

午前8時35分三宮発のバスで、尾道に向かう。途中渋滞も少しあったりで少し時間がかかって昼の1時前に尾道着。曇り。思ったよりも暑くない。今年の夏はやっぱり冷夏なんじゃないか。数年前の夏に尾道に来た時、斜面に照りつける日差しで汗だくになった、あのうだるような暑さはない。

早速、光明寺會舘へ行って荷物を置く。亀ちゃんただいま。僕らはバスの中で食べ損ねたお弁当を食べる。そして、お墓参りに来た人たちが一階のカフェでかき氷を食べて休憩していく。そうそう。この光景が、この場所の魅力。開かれた場所。一息ついてから代表の三上さんと合流して、尾道での滞在場所へ案内してもらう。光明寺會舘から少し離れているけど、こちらも山の手の斜面にある、空き家を改装した民家をレジデンスルームとして使っている。1階は広々としたリビングルーム、2階がベッドルームになっている。確実に尾道の人たちの改装の腕があがっている。

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今年新しく出来たらしい海辺のおしゃれスポットU2をひやかしに。自転車乗りの為の場所で、自転車のままチェックイン出来るホテルや、自転車のショップ、カフェ、複合型のスペースで、さらに屋外にはシャワールームまで備えられている。ここ数年、尾道に来る度に新しいショップが出来ている。

これから25日まで滞在する為の日用品と食料の買い出し。大体8千円弱。2週間は保たないだろうけど、これでしばらくは安心。何か、旅に出るとずっと食べてばかりの気がするけど、皆で夕食へ。台湾料理の一楽。どの料理も安くて美味しい。1人1200円也。

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帰りに亀ちゃんに案内してもらってご近所さんに寄って挨拶。すいかを頂く。ごちそうさまでした。

やばい。本当に食べてばっかりだ。明日から展覧会の準備。

8月12日

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9時起床布団の中でダラダラしてしまう。朝食にパンを食べて、出かける。明日妻が一旦自宅に帰るので、バスのチケットを買いに駅前まで。今日も曇りであまり暑くない。何か、ダラダラ歩いていたらすぐにお腹が空いてしまって、あくびカフェへ。ようやく、光明寺會舘へ向かって、展覧会の準備を開始。参加アーティストもバラバラと集まるので、作品はまだ全部そろっていなくて、何となくイメージがしずらい。まぁ、それなりに配置とかを決めながら考えていると、いろいろ必要なモノが分かってくる。何となくイメージが見えた所で、すぐに出かけたくなる。尾道の街の魔力。

尾道に来たらいつもお世話になっているハライソ珈琲へ。吉崎さんとしばし、というかかなり話込んでしまう。10月にまた尾道で、今度は音楽のイベントをやらせてもらう予定。展覧会にしても、音楽のライブにしてもどこに出口があるんだろうか。ただ、よその土地から来て、発表して去って行ってしまうのではなくて、もっとローカルに、踵でその土地と繋がって芸術を表現していくってのは、どうすれば良いんだろうか。自分の場所を持つ事をやめて、こうやって点々としながらいろんな事をやっていると、色んな課題が見えてくる。

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尾道から対岸の向島に渡船で渡る。5分ぐらいの場所にある島。こちらにホームセンターがあって、必要なモノの買い出し。テープとか。展示用品1516円也。いろいろね、細々と必要になるんだよね。

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ブラブラ歩いて、一旦長江のレジデンスルームに戻る。夕暮れ。ゴーヤと玉葱のサラダ、納豆、キムチを素麺にのっけて食べる。普段と違うキッチンだと、調理に時間がかかる。ま、でも家飯が良い。そうだ、こういうふうにレジデンスのプログラムに参加してるアーティストとかって食事どうしてるのかな。皆ちゃんとご飯作って食べてるのかな。

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今夜遅くに、神戸から展覧会に参加するツダモトシ&大柳美和ペアが尾道に来る。ちょっと急ぎで設営をしなきゃならない。

8月12日深夜〜8月13日

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12日の11時50分に、ツダさんと美和ちゃんが神戸から尾道に到着。別件で、明日の昼には神戸に戻らないとならないために、深夜の設営作業。美和ちゃんの作品が、会場のサイズにピッタリで思っていたよりも、随分順調に設営が進む。徹夜を覚悟していたけど、全くそんな事にはならず、3時には長江のレジデンスルームに帰宅。展覧会場と、レジデンスルームがもう少し近いと良いな。それか自転車があると便利なんだろうな。

皆、一瞬で眠りに落ちる。2人は10時半には尾道を出ないといけないので、7時半に起床。4人で朝食。パン、ゴーヤと玉葱のサラダ、珈琲というメニュー。少し朝の街をぶらっと歩いてから、光明寺會舘へ。昨日の深夜に行った設営のチェック。太陽の光の中で見るのはやっぱり全然違う。そして、この場所はやっぱり太陽の光が明るいのが良い。2人の展示はばっちり。ほとんど何も尾道を案内する事も出来ぬまま、尾道駅へ見送り。

光明寺會舘に戻って設営の続き。だんだんと、形が見えてきた。なかなか、良い感じ。想定外の事もあって、進まない部分もあるのだけど、何とかなるかな。一旦レジデンスルームに戻って昼食。

妻が兵庫の自宅に戻るので、その前になかた美術館に寄る事に。なかた美術館のコレクション作品と、尾道に住む若手のアーティスト達の作品が織り交ぜられて構成されている。この展覧会には、僕らが展覧会をさせてもらう光明寺會舘の代表も参加している。相変わらず、面白いものを作っている。とても刺激になる。螺旋状にフロアを上って行きながら作品を見るというとても面白い構造の建物で、この場所にも何となく尾道の独特のヌケを感じる。

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妻を尾道駅で見送って、レジデンスルームへ戻る。やっぱり少し遠い。今日何キロ歩いたんだろうかと思って調べると、長江の家→光明寺會舘(1km)、光明寺會舘→尾道駅(700m)、尾道駅→光明寺會舘→長江の家(1.7km)、長江の家→なかた美術館(2.6km)、なかた美術館→尾道駅→長江の家(2.6km)、合計8.6km。結構歩いたな。ただ、大阪とか都会で歩くより、全然しんどくない。何が違うんだろう。

さすがにちょっと疲れたのか、少し寝てしまって、起きて晩ご飯。トマトと玉葱のサラダ、ゴーヤチャンプル、ご飯というメニュー。そして、慌てて長坂さんの作品の翻訳作業。

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明日はwassaさんが尾道にくる。

8月14日

朝から雨。雨がトタンを叩く音で目覚める。朝8時起床。木曜日はプラごみを出す日。自治体によってゴミの出し方が違うのは何故なんだろう。焼却施設の違い?うちは、プラごみも生ゴミも一緒に出せるんだけど、こっちだと結構ちゃんと分けないとだめなんだね。で、ゴミ出し、朝ご飯、掃除、洗濯をしてからなんだかんだで、昼になって、昼ご飯を食べてから光明寺會舘へ。

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今日も、そんなに暑くないなとか思ったけど、そんな事なかった。蒸し暑い一日。google map を見てたら、山手をずっと行くと長江の家から光明寺會舘までいつもより距離が近いみたい。山手のアップダウンの激しい細い道を歩くと汗が吹き出て来る。光明寺會舘に着いて、誘惑に負けてかき氷を食べてしまう。イチゴ&ヨーグルト。美味。長坂さんのテキストの翻訳、レイアウト、プリントなど。

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そうこうしているうちに、大阪からwassaんが到着。設営作業はスムーズに行き過ぎてあっという間に終わる。彼女は18日まで尾道滞在予定なので、何か作ってもらおう。

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光明寺會舘は、7時からエア・ジンの制作ミーティングらしい。なぜか僕らも同席。僕は、この尾道滞在記録を書いていて、wassaんはノートに落書き中。

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今日は、夜になってもムシムシするなぁと、思っていたら、急遽、光明寺會舘の代表の三上さんのインタビューをする事に。これは、昨年から参加しているgreenz.jp というウェブマガジンの記事用の取材。尾道に来るようになって数年経つけど、その中でかなりお世話になってきた光明寺會舘の、何となく僕が不思議に思っている事などを聴いた。尾道は、言ったら田舎だし、別に先鋭的な土地でもないと思うのだけど、そんな場所でバリバリの現代アートの展覧会をやったりしていて、それが妙にこの土地にマッチしている。それってどういう事なんだろうと、ずっと思っている。1時間ほどあれやこれや聞いて、不思議に思っていた事の30%ぐらいの秘密を知った気分。

そして、雨。

wassaんと長江の家に帰って食事。謎の3色韓国風どんぶりと、サラダを食べて尾道4日目終了。

8月15日

朝6時過ぎに目覚める。今日は燃えるゴミの日。ゴミを出しに行って、二度寝。二度寝サイコー。9時に今度こそ起床。朝食は、トースト、サラダ、ゆで卵、珈琲。午前中は長江の家で作業。wassaんは来月ある二人展の準備で、何やら切り絵(?)を熱心にしていた。僕だけ光明寺會舘に移動して展示作業の続き。うーん。それなりの所までは出来るんだけど、詰めが甘いのが自分でも分かる。こういう所はいつも妻がやっていたからなぁと。

一時過ぎに外出。wassaんと合流してみやちで昼食。お盆休みだからか、激混み。お気に入りのてんぷら中華が切れていたので、中華そばと稲荷寿司。食後にはハライソ珈琲へ。そしたら、先日もハライソ珈琲でお会いした素敵な女性に遭遇。この方70歳を超えているのだけど、肌とかツルツルで表情もとても生き生きしていて、話もとても面白い。今日は、小学校4年の時に突然小児麻痺にかかった事、そして奇跡的に回復した事、50の時には車椅子生活になると言われながらも、未だに元気に杖もなく歩けているとの事。40度を超える高熱に数日うなされ、五色の繭玉にうなされる悪夢を見続け、気がつけば、小児麻痺にかかっていたと、それから、明治生まれだったお爺さんに毎日身体を揉んでもらって、般若心経を唱えてもらって、奇跡的に回復したと。何とも不思議な体験を聞かせてもらった。

そして、wassaんのお友達である寺岡圭介さんが、福山から来てくれ、自転車をしばらく貸してくれる事に。この滞在記を読んでくれていたらしい。いやぁ、書いてみるもんだ。ありがとうございます。

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さっそく、自転車で光明寺會舘へ戻る。自転車に乗って街を走ると、一気に街と自分の距離感が近くなる。今まで、旅人だったのが、一気に滞在者になった気がする。この土地で生活をしているという実感が湧いてくる。夜7時で作業を終えて、再び自転車に乗って今度は向島のスーパーへ食料品の買い出し。今夜は、チキンとトマトのカレーなのだ。

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もう少し、作業をして、お風呂に入って寝よう。

8月16日

この日の記録は翌17日に書いている。やばい。たった一日で記憶が曖昧になっている。午前中雨が降っていた。尾道に来てからずっとぐずぐずした天気。気温はそんなに高く無いと思うのだけど、湿度が高くてむしむしする。不快。昼間は長江の家で作業。色々やらなくちゃいけない事があって、先に出掛けたwassaんに鈴木さんの絵の設営をお願いする。自分もご飯を食べて出掛けて、カメラ屋でフィルムを購入して、コンビニでカタログの印刷代金を支払って光明寺會舘へ。

で、光明寺會舘へ着いたら、数時間前に出たはずのwassaんが居ない。鈴木さんの絵もそのまま。あいつー、どこを遊び歩いてんねんとか言いつつ1人で鈴木さんの絵の設営。ま、夏の尾道は、ブラブラしたくなるよね。いつも、展覧会やる時の僕の役割としては、誰と誰を組み合わせるかでほとんどの仕事が終わっていて、あとは、ちょこちょこっと文章を書いて、設営時には横でちょちょっと口出しして後は、全部作家か妻がやってくれてたんだね。自分のこういう実際の作業をする事のむいてなさを痛感する。

でも、三上さんと話していて印象に残った話があって、ギャラリーでも美術館でも、展覧会ってたいていは絵を描くとか何かものを作るのが得意な人が、自分の得意なモノ、良く出来たモノを「見て見て」って感じで発表会的に、どうしても良いように表現をしてしまう。と。でも、光明寺會舘でやりたい事はそうでないものもあるんだ。と。例えば日常の生活に入り込む様な感じで生まれてしまったもの、この土地との色んなつながりの中で生まれてしまったものに興味がある。そんな話をしていた。

夕方からはなかた美術館で、今展覧会に作品を出展している作家さん達のアーティストミーティングがあるというので、お邪魔する事に。そこでも、土地と表現の関わりみたいな話になった。尾道って、どうしても土地の事を語らずにはいられない何かがあるな、と思う。尾道の街を自転車で走っていた時に、ふと住む場所って結構考え方とか思考の回路に大きく影響を与えていると、ものすごく実感した瞬間があった。

アーティストミーティングから居酒屋へ流れて夕食会。が、早々にトラブルが発生。この展覧会に合わせてカタログを作っているのだけど、そのほとんど編集も終わって、あとは表紙のデザインを差し込むだけとなっていたデータがサーバーからこつ然と消えてしまう。マジか。。。一瞬もういいかってなりそうだった所を、気持ちを奮い立たせて、再度データを作り直す事に。夕食会も途中の居酒屋から一人抜け出して長江の家に急いで戻る。とりあえず、テキストデータはほとんどそのままあるし、レイアウトも大体覚えていて、データを作り直す作業自体は割といけそうな感じだったけど、何にしろただの復旧というのは、モチベーションが全く上がらない。そして、まえがきの文章がどこにも残っていないし、覚えてもいなくて、もう一度書き直す事に。そんなこんなで午前3時頃に入稿。

疲れた。お休みちゃん。

8月17日

寝坊してしまって、朝ご飯も食べずに、インタビューをする為に杉井隼人氏の自宅兼アトリエへ。彼は、今滞在中の長江の家の為に本棚を制作中。床の間から飛び出る本型の本棚。とてもユニークで素晴らしい動きをする本棚。彼は、尾道大学に通う学生で、油絵を描きつつ、不思議な動きをする音の出る装置とか、面白いものを沢山作っている。ここではとても書ききれない。是非またインタビュー記事が書けたら読んでください。

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インタビュー後に一旦家に戻って、洗濯をして、昼ご飯を食べて光明寺會舘へ向かう。會舘で出展作家のさかもっちゃんと合流。彼女の作品が置かれた事でぐっとまとまった感じ。23日に彼女のワークショップがあります。展示している作品を解体して、皆で新しい作品を作ってみようという、何とも刺激的なワークショップをする事に。なかなかアーティストの作った作品を解体するなんて機会は無いんじゃないか。是非来て欲しい。

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会場を整えて明日からの公開に備える。何だろうな。まだ自分でも良く分かっていない。どんな風にみんな見るのかな。少しでも何か、遠い未来に想いを馳せる時間になってくれたらなと思う。

長江の家に戻って、カレーの残り、豆腐、キュウリの酢の物という謎のメニューの晩ご飯。そして、二日分の記録を書いている。

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