再度尾道へ。8月31日、展覧会「彼方に吹く風」撤収に。

8月31日

朝7時30分ぐらいに家を出る。久しぶりに青春18切符を使って、岡山経由の尾道へ。10月に、マリンバ+ギター+ドラムによる変則トリオバンドのcirce、9月9日に新作が発売になるシンガーソングライター佐立努、イタリアからmattia colettiの3組での西日本ツアーをするのだけど、その3日目10月12日に岡山の宇野にある東山ビルという所でイベントをするのだ。大阪でギャラリーをやっていた頃によくお世話になっていた、そえちゃんの仲介で素敵な場所でイベントをやらせてもらう事になったので、その会場の下見へ。芦屋から電車を乗り継いで3時間半。電車の窓から景色を眺めていると、日本は米の国なんだなってのがよくわかる。岡山から電車を乗り換えて、美しい田園を抜け海を目指して南下する。宇野は港町。駅にそえちゃんが迎えに来てくれる。彼女は大阪から奈良に移って、半ば農家の様に畑仕事をしだして、1年程前に宇野に移ってさらに養蜂まで始めている。久しぶりに会ったら、とても逞しく美しい女性になっていた。今日は、会場の代表は夏休みで居ないのだけど、会場の東山ビルは開いているので中を見る事が出来るとの事。港が見える激シブな場所。隣が魚市場で、刺身を買ってご飯と鯛アラの味噌汁で昼食。さらに、その後近くのめちゃカッコいいBollardって所で珈琲。そえちゃんが、この町でどんな生活をしているのか、ちらとかいま見えた感じがして、とても嬉しい気分。そえちゃんのsoe farmも10月のイベントで出店します。野菜か、蜂蜜か、何かスペシャルなものが出て来ると思いますよ。

2時40分宇野発の電車で尾道へ。結構時間がかかる。尾道駅に着く直前の、あの瀬戸内海がバーっと見えてくる瞬間。あーって何か胸がアツくなる。光明寺會舘に着いたら5時前で、さかもっちゃんは既に會舘に到着していた。撤収は早いもので、さかもっちゃんと近くの店へ晩ご飯を食べに行く。ささっと撤収を終えた彼女は颯爽と神戸へ帰っていった。今度はまたどこかゆっくりと一緒に何かを作りにいけると良いな。一人、もう一度會舘に戻って他の作品の梱包など撤収作業。大体片付いて、長江の家に戻ろうかと思ったけど、何となくハライソ珈琲へ寄ってみる事にしたら、階段を上っていると、聞き覚えのある声がする。keikiさんと3月のイベントでお世話になった浄泉寺の真照さんがいた。尾道はこういうのが良いよね。ちょっと町を歩けばすぐに友達に会える。そのまま階上のYES。に流れるお決まりのパターンで盛り上がる。展覧会が終わったのが、何だか急に寂しく感じてしまった。

9月1日

7時半起床。尾道浪漫珈琲でのんびりモーニング。ここのワッフルが美味しい。光明寺會舘に行って、最後の掃除をして展覧会が始まる前と同じ姿に。そういえば、ギャラリーをやっていた頃はよくこの気分を味わった。ほっとしたような、寂しいような、なんとも言えない気分。

尾道滞在期間中、丁度夏休みだったネコノテパン工場に行って、お昼用のパンを調達する。11時過ぎに三上さんと合流して、フェリーで百島へ。尾道の駅前の港から40分程の所にある、瀬戸内海に浮かぶ島。ART BASE 百島という所を中心に、近年アート関連のプロジェクトが活発になっている。9月13日から、三上さんと小野さんのユニット「もうひとり」も参加する展覧会がこの島で行われる。ここは、まだ直島のように観光地化されていなくて、純粋にアートを楽しむなら断然面白い。結局、人間が増えると、そこは創作の為の場所ではなくて、消費の為の場所になってしまう。芸術と消費ってやっぱりどうしても相容れない部分が大きいように思う。そういう事を、今回の尾道での滞在で凄く考えた。僕は、絶対的に創作の側に足を置き続けていたい。

この百島にしても尾道にしても、昨日の宇野にしても、何と言うか日本のごく一部の大都市圏を除いて、どの場所でも一つのライフスタイルというか文化が確実に終焉に向かっている事を強く感じる。その感覚は年を重ねる毎に強くなる。もうモノを沢山作ってそれを消費していく社会はどうやったって続かない。新しいタワーマンションに住むとか、今までの幻想の様な幸福感に必死にしがみつこうとしている都市の姿を見ていると、滑稽にすら見える。家なんかもう建てなくたって、日本は既に空き家だらけだ。アーティストで真剣に創作活動に打ち込みたいのなら、さっさと都市部から離れた方が良い。都会は創作をするにはノイズが多すぎる。今回の滞在で、アーティストこそが、これからの時代のライフスタイルを社会に広く示せる人間だと、本当に強く思った。

夕方、島からもどって、光明寺會舘でこの夏最後のかき氷を食べて、17時半のバスで、神戸に戻る。夏が終わった。

この尾道滞在記録は、書籍「彼方に吹く風」に収録されています。是非ご注文下さい!