月夜と少年のアトリエ展示室で初となる展覧会「カイコウ」。かなり限られた空間での展覧会となる為に、期間中にはあまり写真を公開できない。出来るだけ新鮮な気持ちで、ケの二の作品に触れてもらいたいと考えている。その一方で、ケの二とはどんなアーティストなのか、「カイコウ」とはどんな展覧会なのか、事前に少しだけ知ってもらって想像を膨らませてもらえればと思い、インタビューを行った。

今回ケのニとしては、久しぶりの展覧会となる。何故4年もの期間が空いてしまったのか。会場は、月夜と少年のアトリエ兼住居の一室。さらに、改装を経てセミパブリックとなったばかりのこの展示空間は、ケの二の展覧会がこけら落としとなる。そんな未知数な場所で久しぶりの展覧会をやることに不安はなかったのだろうか。

高野:一つは、ニッチ(高野文子と坂本ミン、両者が参加している人形劇団)があった。ニッチに参加するまでも、一年に一度二人で展覧会をやるかどうかぐらいのペースでの活動だったし、そこにニッチでの活動が一年に一度、定期的に入ってくるようになった。人形劇はケの二の活動とは違うけど、そこである程度二人での創作活動が出来てしまう。

坂本:そして、展示をしようとなると、どこでしようかという場所の問題もあった。自分たちにも観る人にも、こういうカラーのギャラリーで、こういうジャンルの作品で、みたいな想定や設定がしにくい場所を探していた。もちろん、ギャラリーだと売る、売らないと言った問題も出てくる。そして、そう言った事をどれぐらいその場所のオーナーさんと話が出来るのか。

ケの二 : 展覧会「月夜の祭」より

高野:それが、なぜなのかは分からないけれど、ケの二の二人で初めてやった展覧会(「月夜の祭」月夜と少年, 2010年)が、とても良かったなと印象に残っている。

坂本:あの時、人形を作る事以外の事をあまり考えずに展覧会ができたと思う。

高野:なかなかそういう、私たち二人にとって丁度良い場所というのが見つからなかった。

坂本:自分たちでいうのも、なんだけど、私たちは二人とも生真面目なたちで、カチッとしたギャラリーだと、ちゃんとしなきゃとか考えたり、場所のイメージに引っ張られてしまうところがある。でも、今回は私たちの展覧会が、場所にとって初めての展覧会だし、普通のギャラリーとは全く違うし、場所のイメージがまだあまり定まっていないことが、逆に魅力的で面白そうだと思った。

高野:私も、これまでに何度もこの場所にお邪魔して、家だけど、風通しの良い場所だと感じていた。そして、月夜と少年の吉田家にも子供が生まれて特別なタイミングだなと思った。そういう時に展示が出来るのはとても楽しい事のように思った。ケの二の人形は、そういう自然のめでたさを祝うというのにも丁度良い気がした。

二人で作ることと、一人で作ることの違いについて。

高野:初めてケの二で制作をした時に、今まで自分一人で作って来たものとは違うものができたという感覚があった。やっぱり、あの一番初めの展示の時にあった感覚が忘れられない。何かを二人で作ったというよりも、生まれ出たというような感覚があった。

坂本:個人で何か作るときは、先にこういうものを作りたいという意思がある。でも、こうやってケの二として二人でやる時には、まず何かモノがあって、そのモノと自分との対話から制作が始まる。モノをパッと見た時に、一瞬見える何かの形とか、そういうことを大事にしている。私たちは、何かモノを見た時でも、展覧会を観に行ったりした時でも、同じように考えていることが多い。だからケの二の作品って、どの人形をどちらが作っているのか、ぱっと見には分かりにくいかもしれない。

個人での、何を作りたいか、というふうに考える制作も大切だし、モノと対話をして何かが生まれ出てくるという感覚も、両方大切だと思っている。

高野文子 : 朝のU(うつわ) より

坂本ミン : 個展 「終わらない街」、他 より

カイコウについて、そしてこの先の活動について。

坂本:この場所が風通しが良いという話が出たけど、自分たちの作品が展示された場所にとどまっているのではなくて、流れていくような感じ。自分たちの作っているものも旅の途中みたいな。そこに見にくる人たちが出くわすみたいな、そんな感じにしたかった。それで、展覧会のタイトルもカイコウにした。自分たちが作って出来上がったものだけでなくて、その素材とか材料とか、自分のところに集まって来たのってすごい確率だし、絵の具でも紙でも、誰か作っている人がいて、それが合わさって今ここにあると思うと、すごいことだと思う。

高野:作った人形とかも一緒に旅する一団として、全然別の場所に持って行ったらどういうふうに見えるんだろうというのは気になる。ギャラリーでも良いし、ちょっと変わった場所でも良いのだけど、違う場所に展示するというか、置いて見るとどうなるんだろうというのは気になる。

坂本:そういえば、展示したい場所が思い浮かばなくて、自分たちで小屋を作ってそこに人形を置いておくとかどう、みたいな話をしていた。