彼方に吹く風

2013年より、様々なアーティスト達に「100年後の未来に残したいモノ」というテーマのもとインタビューを続けています。2014年夏にインタビューを行ったアーティスト達の展覧会を尾道で開催しました。

アーティスト : 朝弘佳央理, 大柳美和, 坂本ミン, 鈴木啓文, ツダモトシ, 長坂有希, 西絢香, 原康浩, wassa
会場 : 光明寺會舘 / 尾道, 広島
期間 : 2014.08.18 – 2014.08.31

100年後の未来を考えてみても、恐らくそんな事は何の意味もなさないぐらいに、未来には今の僕らからでは想像もつかない世界が広がっているのだろうと思う。100年後にアートはどんな役割と意味を持っているだろうか。あぁ、でもアートの存在する意味はきっとそんなに変わる事はないだろう。きっと100年前も今もそんなに変わらないはずだ。変わっていくのは役割の方だ。日本だけに限定して考えてみて、美術館やギャラリーみたいなものが果たして、100年後にも存在しているだろうか。戦後半世紀程でアートが美術館において果たしてきた役割が、この先100年も与えられるとはどうしても思えない。日本におけるアートなんて、多くの人たちにとっては、休日の余暇にさえ成り得なかったのではないか。アートは結局西洋の文化だったのだ。西洋に憧れカタチだけを真似をする時代は、もう長くは続かない。

 

人間の想像力は、その人自身の生活する環境と非常に強く結びついているという事を、今回の尾道滞在中に感じた。尾道は、人口減少、高齢化といった未来を考える上で、避けては通れない問題を都市部よりもはっきりと感じさせてくれる。いわば日本の未来が見えていると言っても良いかもしれない。尾道という場所で今回の展覧会を行えた事にそれなりの意味があっただろうと思う。この場所でアートが担っている役割は、明らかに都市部の美術館やギャラリーでアートが担っている役割とは異質なものだ。未来の事を考え、芸術にその願いを託すとするのなら、芸術家達は都市部から離脱して生きていくという選択肢を真剣に考える時ではないか。

 

2013年の夏から「100年後の未来に何を残したいですか?」と、これまでに11人のアーティストにインタビューをしてきた。大阪4人、神戸3人、尾道2人、京都1人、フランス1人。これを機に、もっと色々な場所で暮らすアーティストの言葉を聞いてみたいと思っている。一応100人というのを目標にやっているのだけど、この調子でいくと10年近くかかる事になるのかと、少々怖じ気づいている。10年も経てば考える事も大分変わっていそうな気がする。

 

(ドキュメントブック「彼方に吹く風」より)