宮本章太郎 from 箕面

タイトル : I’m here… #01
場所 : 箕面 (大阪)
撮影日 : 8th/Apr./2020
ゲスト : 宮本章太郎 (nayuta)
曲目 : In my life/the Beatles, 五月/宮本章太郎


宮本章太郎、彼と知り合ったのはいつだったかと、この記事を編集しながら、ぼんやりと思い出そうとした。おそらく23か24歳の時だったとは思うのだけど、まさかこんなに長い付き合いになるとは、あの時お互いに思ってはいなかったに違いない。長い月日の間に僕は、自分で音楽を演奏する事は辞めてしまったけど、彼は出会ったあの頃からずっと変わらぬギター小僧だ。

このコロナウィルスの静かな騒動の中で、彼がどんな風に音楽を鳴らそうとしているのか、変わらずギターを弾いているのか、どうしても話を聞いてみたくなった。というか、彼の音楽を聴きたくなったのだ。

誰に向けて演るわけでもなく、ここで今音を鳴らしている事に、とてもシンプルな意味があるような気がした。

– 彼が作るとても美味しいカレーが食べられるお店、大阪府箕面市にある「北摂スパイス研究所」の現在の状況について。

今(4月8日時点)は持ち帰りも対応していて、一応週末も含めて開けているけど、緊急事態宣言も出ているし、いつ閉めないといけないようになるか分からない。駅周辺を含めて、人通りは減ってるし、箕面の滝に行く道の商店も閉めてるところが増えてる。大阪市内のカレー屋さんとか結構閉めてる所もある。個人商店はかなり厳しいし、苦渋の決断だよね。

– 影響がない訳はないと思いつつも、聞かない訳にはいかず、ライブや音楽活動の現状について

2月に地元の箕面ビールの創業祭があって、そこで演奏した事をきっかけに、箕面のレゲエシンガーの子とかと一緒に新しいバンドを組んだんだけど、3月4月とライブは流れた。これも、せっかくの機会だから、お互いに動画を撮ってオンラインでやりとりして、曲作りはやってる。こういうのが広がって、色んな人とオンラインでセッション出来たりしたら面白いなとは思ってる。ライブも今後配信が増えるんだろうね。そういうシステムも発達するだろうし。ただ、それと同時に、そういったバーチャルな事が増えると、実際に人と会うこととかその場所での体験の価値も大きくなる気がする。ローカルなコミュニティとか小さなコミュニティの価値が一層高まる気はしている。

– 彼の活動の主軸であるnayuta ではどんな感じだろうか。

東京でのライブもなくなったし、4月に自分達で企画していたイベントも延期になった。2年前ぐらいから元々カラオケボックスだったところを借りてDIYで自分達だけのスタジオにして使ってるから、制作は出来る状況。企画していたイベントが流れた時も、その日にスタジオでライブ配信をした。ただ、やっぱりコメントを読めたりはするけど、お客さんの反応とか声が聞こえる訳ではないからね。空間の共有が難しいなと思った。

あと、そのライブ配信をやった時に、途中で制限時間を超えてしまって、配信が途中で止まってしまった。演奏をしながらその事に気がついてはいたんだけど、でもその音楽を止める訳にはいかないって感じたんだよね。配信が途切れても、演奏を続けていた時に、誰に向けて演るわけでもなく、ここで今音を鳴らしている事に、とてもシンプルな意味があるような気がした。その時の感じで常に音楽をやる事が出来れば、それは意味がある事に思えた。音楽のエネルギーの行き場が、一瞬すごくはっきりしたように感じたんだよね。誰の為でもない演奏というのかな。


彼の最後の話を聞いて、何となくしっくりと来るものがあった。バンドを初めて組んだ頃、確かに、誰の為に音楽を演るでもなく、ただただ自分の中にあるものと向き合い、それをバンドのメンバーと共有出来る事が、たまらなく幸せな時間だったと思い出した。音楽って本来は自分の中だけで鳴っているものだけど、長く続けているとそういう事を考えなくなったり、忘れてしまったりするのかもしれない。それぞれの中で鳴っている音楽の共鳴する場所さえあれば、オンライン上での配信であれ、ライブ会場での演奏であれ、それは変わりないのかもしれないなと思った。でもやっぱり、早く彼のお店にカレーを食べに行きたいし、ライブも観に行きたいなとも思った。


PROFILE : 宮本章太郎

1980年生まれ。幼少の頃、ドラマーの父親の影響のもと jazzや民族音楽に触れる。14歳でエレキギターをはじめ rockに触れる。ギターの持つトーンに魅力を感じ、エフェクターにも可能性を感じ、様々なサウンドスケープを生む。ソロとバンドの活動をしながら現在に至る。楽器の魅力への興味は声へもうつり現在は歌うことにも重点を置いている。


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