企業分析

【企業分析】エイチーム

これまで、ここではネットネットを中心にバリュー株ばかり取り上げて来ましたが、グロース株も取り上げてみたいと思います。グロース株の時価総額の源泉である、将来の収益性を想定するのは、とても難しいものです。世の中の大きな流れを多少読む事は出来るのかもしれませんが、未来というのは多元的だし、可能性は無限にあってそれを元に一企業の将来の収益を推し量るなんてのは、かなり無理なミッションであると思います。

その中で、過去の事業でその企業が積み上げた収益力と信頼を、株主資本の推移を中心に読み解き、そこから今後どの程度の事業展開を見込めるのか、というのを無理矢理都合よく解釈しよう。これが、僕の考えるグロース株投資です。

今回は、名古屋に本社をおくIT企業のエイチームを取り上げてみます。

エイチーム (3662)

本社/ 名古屋市中村区
創業/ 1997年
設立/ 2000年
https://www.a-tm.co.jp/

事業内容

エンターテインメント事業
ゲームやツール等のアプリケーションを企画・開発・運営
ライフスタイルサポート事業
人生のイベントや日常生活に密着した比較サイト、情報サイト等様々なウェブサービスを企画・開発・運営
EC事業
自転車専門通販サイトの企画・開発・運営

エイチームというと、いくつかのヒット作があったようで、スマホゲームの会社という認識が強いようです。僕自身はゲームを全くやらないので、エイチームが作るゲームには全く興味がありません。ヒットが出るかどうかで、大きく業績も振れてしまうので、エイチームも早くこのエンターテイメント事業の比率を下げて欲しいと思っています。ただ、閉鎖的でガラパゴス化した日本の社会環境をみた時に、その事がグローバルなビジネスにおいてプラスに働くのは、世界中にコアなファンがいる、音楽、アート、アニメ、ゲームなど日本独自のエンターテイメントの分野だろうとは思っています。そう言った意味で、エイチームのゲームにも、ほんの少し期待している部分もあります。

現在の売上高の各セグメント比ですが、

過去に大きなヒットを出した既存ゲーム作の売り上げが減少して、ハナユメ、引っ越し侍などを柱にライフスタイルサポート事業が大きく伸びて来ているようです。年間通期でもライフスタイルサポート事業が、エンターテイメント事業の売り上げを超えて来ています。

EPS, BPS, ROEの推移


収益、株主資本ともに上場以降とてもはっきりとした右肩上がりの業績を辿っています。BPSは年率で平均37.8%、EPSは平均40.65%という高成長を遂げています。また、2011年以降の平均ROEは28.84%もあり、エイチームの事業がいかに高収益で、資本効率の良い経営を行なっているのかが伺えます。しかし、こんなに優良な成長企業でも、一旦減益の予想を出すだけで、マーケットの雰囲気が悪化すれば、株価は大きく下落する事になります。今年の年初に2900円近かった株価も、1800円台前半まで落ちて来ています。

さて、それでは、今後エイチームに高成長は望めないのでしょうか?

BPSの推移から未来を想定する

僕は、未来の収益というのは、過去の事業の蓄積の上にしか成り立たないと考えています。もう少し言えば、過去の事業の実績で積み上げて来た株主資本(BPS)から、事業へ再投資し、それが未来の収益(EPS)に繋がるのです。そう考えると、エイチームには未来の収益をあげる為の基盤がしっかりと整っていると思えるのです。過去の平均値である35%を超えるような高成長は無理でも、直近の数字を見れば25%程度BPSを拡大していく事は十分可能ではないかと考えます。そうすると、2021年3月期には、BPSは1160円程度に到達している事になります。そして、平均ROE28.84%から見ると随分離れた数値になりますが、過去最低であったROE19%をかけると、EPSは220円程度という想定になります。これは、十分に達成可能な想定かと思います。むしろ想定範囲の下限と言っていいかもしれません。そして、過去の安値の平均PERが19倍程度である事を考えれば、3年後の想定株価として4000円というのは余裕を持った数字ではないでしょうか。

まとめ

とは言え、はっきり言って未来の事なんてやっぱり誰にも分かリません。ですから、新作のゲームがヒットするかもとか(iOSでランキングが1位になっているようではありますが)、トヨタとの協業がとかそういう不確定な予測に軸足はおかず、というよりもむしろ全く考慮せずに、過去の指数の平均値だけを頼りに数年後の株価を想定し、現在の割引率がどの程度かと考えるようにしています。

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