ジーダット

さて。今日(10月26日)発表になった中間決算を見て、ジーダットと言う企業の分析を少し書いておきたいと思います。さらっと見た感じでは、前年同四半期比で増収、減益となっています。会社側のコメントでは、営業が上手く行っていて需要も拡大傾向にあり増収となっているものの、固定費の増加と粗利率の低下で減益との事です。

ジーダット (3841)

本社/ 東京都中央区
設立/ 2004年
http://www.jedat.co.jp/

事業内容
– LSI、FPD等向け回路・レイアウト設計用EDAソフトウェアパッケージの研究開発,販売,代理販売
– 上記EDAソフトウェア稼動に関わる顧客サポートサービス
– 上記EDAソフトウェアの使用法教育サービス(新人教育、レベルアップ教育等)
– カスタム仕様ソフトウェアの開発受託サービス
– 半導体開発受託サービス
– 特定プロセス用PDKの開発受託サービス
– 設計環境構築・改善支援サービス(設計TAT短縮、設計品質向上)

会社のウェブサイトで事業内容を見ると、

ジーダットは半導体(LSI)や液晶(LCD)パネルの設計に不可欠なEDA(Electronic Design Automation)ソフトウェアの研究開発型カンパニーです。

とあります。ものすごくざっくり言うと、半導体や液晶パネルの設計用のソフトウェアを作っている会社です。

正味流動資産割れ

先日取り上げた、テクノアソシエに引き続き、ジーダットも正味流動資産割れの割安株です。さらに特筆すべきは、そのキャッシュの多さです。本日発表された中間決算のバランスシートを見ると、26億7千万円のキャッシュを持っています。負債総額が5億8千万円となっていますので、現金-負債総額=20億9千万円で1株あたりに換算すると1072円になります。他にいくつか、目処となるラインを書き留めておくと、1株あたりの(現金+売掛金+電子記録債権)-負債総額=1262円、BPSが1404円となっています。ちなみに株価ですが、本日の終値は1185円でした。

EPSとBPSの推移


2007年からのEPSとBPSの推移ですが。BPSに関しては若干の上下があり、年率で平均1.81%と小幅ながら右肩上がりです。しかし、収益面EPSを見ると、2007年を天井になかなか安定しない様子が伺えます。これは、事業構造に何かしらの要因があるように思います。その辺りはもう少し分解して見てみるとわかりそうです。

業績の推移と販管費の推移


ちなみに、この四半期では、粗利率が59%で、販管費率が56.1%でした。これを見ていると、数字の良かった、2007年~2009年に比べて販管費率は低下しているので、固定費の増加による減益というのは、苦しい言い訳のようです。問題は2010年以降の売上総利益の伸びのなさだと思われます。2013年を底に順調に売上を伸ばしていますが、原価率が大きく上がってしまっていて、利益が出なくなってしまっています。これは、ソフトウェア開発の細分化による、開発の時間と人件費の増大が要因ではないでしょうか。需要は増えども、それを捌き切れていないように見えます。

まとめ

時価総額以上のキャッシュを持っている資産面から見れば、かなりの魅力があります。BPSも年率で1.81%と小幅ながら増加して来ています。それは、着実に積み上げている実績と信頼だと思います。しかし、停滞感のある業績が動き出すには、何か一つ大きなきっかけが必要なように思います。アルゴグラフィックスとセイコーインスツルが大株主で70%超の議決権を抑えていますから、何ともなというところですが、、、外資のファンドが入ってケツを引っ叩いて欲しいという気もします。

追記 2019年3月期第3四半期決算

先日発表された第3四半期決算では、売上高は前期比で若干伸びていますが、営業利益以下は30%を超えるマイナス。原価率が引き続き上昇傾向です。結局ここは、手持ちのキャッシュ以外に見るべきところはないというのが正直な感想です。現在現金預金が25億9千7百万円、負債合計が5億2千7百万円で、現金預金-負債合計=20億7千万円です。これは一株あたりにして1061円です。また、キャッシュ以外にも、売掛金と電子記録債権合わせて、3億5千万円ほどを保有していて、これを合わせると一株あたり1240円の正味流動資産を保有しています。キャッシュはあるけれど、それを適切なポイントに投下しているのか?というのが大きな疑問です。やっぱりお金というのは、使わなければそこに価値はなくて、ただの数字の羅列に過ぎないわけです。使わないのであれば、増配や自社株の買い戻しなど適切に還元してもらいたいものですが、それもありません。結局、2月6日付けのIRで急騰して、時価総額がキャッシュ以上になったため全株売却しました。今回のIRにしても、その研究が一体どれぐらいの市場規模の製品に繋がるのか、どれくらいの投資期間なのか、そのあたりの見込みを開示する必要があると思うわけです。数年に渡りひたすら原価ばかり食って、利益を伸ばせずにある現状で、厳しい言い方かもしれませんが、魅力はその溜め込んでいる現金にしかないわけです。そして、その現金は株主のものなのですから、きっちりと説明する責任があるはずです。

– 2019.02.07 追記

結局のところ、こういう時価総額が正味流動資産割れしている、ネットネット株については、一度バフェット氏の師匠であるベンジャミン・グレアムの「賢明なる投資家」を読んでおくと良いと思います。

*ページ上部の写真 画家榊和也の作品「天空の森」より

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